第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇

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『第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』名倉ディレクターインタビュー(全編)|2008年9月に『Z』シリーズ第1作である『スーパーロボット大戦Z』が発売されてから約7年……。いよいよシリーズ最終作となる『第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』が2015年4月2日(木)に発売となる。多くの並行世界が重なりあう「多元世界」を舞台とした本シリーズは、数多くの作品が集結する『スパロボ』シリーズの中においても傑出したスケールで物語が描かれてきた。そして、『Z』シリーズの重要なキーパーソンが、第1作『スーパーロボット大戦Z』から開発現場の監督とシナリオ作成を担当する株式会社B.B.スタジオの名倉正博ディレクターだ。氏が、ゲーム制作を志すきっかけとなった『スパロボ』との出会いから、『Z』シリーズに込めたテーマなどを伺った。

倉さんにとって初めてプレイされた『スパロボ』シリーズは?

大学3年生の夏休みだったと思うのですが、ちょうどアルバイトもお休みで時間に余裕があった時期がありまして、その時にスーパーファミコンの『第3次スーパーロボット大戦』のCMをTVで見たんです。子供の頃からロボットアニメは大好きだったのですが、それまでは『スパロボ』の存在を知らなくて、“おお! ロボットのゲームだ!”とびっくりしながらCMを見ていました。そして、そのTVCMの最後に出てくるバンプレストマーク――当時はバンダイナムコゲームスではなくバンプレストからの発売だったんですが――と一緒に、パイロットのヘルメットがずらっと並ぶ絵があったんですが、その格好よさにシビれて、翌日、朝イチで購入しました。

手に入れてからは、もう文字通り不眠不休でプレイをしました。1話終わったら次、また次、そのまた次……と、クリアするまで3日間ぶっ続けでした。もともとTVゲームは好きで、それまでも普通に楽しんでいましたが、寝食を忘れてプレイし続けるというのは初めての経験でした。
『第3次』はストーリーの先が読めなかったんです。“まだ続く、まだ続くんだ……じゃあどこまで続くんだろう?”って、とにかく先を見たいという欲求に突き動かされてプレイしていたのを今でも覚えています。自分の手で物語を進めていくことに熱中して、途中でやめることができませんでした。

そこから『スパロボ』シリーズが大好きになり、『第3次』があるなら『第2次』もあるだろうと過去作をプレイし、さらに新作の情報が出るたびにゲーム誌を買い集めて発売を待ちわびていました。

心なスパロボファンだった名倉さんが、ゲームの制作側に行こうと思った
きっかけは?

ゲーム業界を志すきっかけの一つに、『スパロボ』との出会いがあったとは思います。ただ、当時の僕の就職志望先としての興味は、家庭用ゲーム機向けのゲームではなく、アミューズメント施設にある占いマシーンや小規模なお化け屋敷のようなアトラクションといった、アーケードよりのゲーム業界にあったんです。

大学卒業後、そういった会社に入ることができて、占いマシーンのキャッチコピーやアトラクション用のシナリオを書いていました。ですので、僕のシナリオデビューは、その時の会社で書いたお化け屋敷のシナリオなんです。そういった仕事の中で、誰かを楽しませるためのシステムと、それに付随するシナリオを制作することを覚えていきました。

その後、縁あって今のB.B.スタジオの前身であるバンプレソフトに入社することとなり、『スパロボ』シリーズの制作に携わることになりました。ただ、前の会社でゲームシステムと連動するようなシナリオ作りをしてきたつもりだったのですが、やはり家庭用ゲームは勝手が違い、配属当初は何をしたらいいのか全くわからない状態でした。僕がかかわるようになったのは『スーパーロボット大戦α』のころだったのですが、「やらなければならないこと」「やりたいこと」「自分にできること」の3つが頭の中でこんがらがってしまって……。

その中で、寺田プロデューサーをはじめとする先輩たちをお手本に少しずつ学んでいきました。

最初はちょっとしたシナリオ執筆や簡単なシステム改修の提案をするくらいだったんですが、プログラマーやグラフィッカーのみんなが何とかきちんとした形にしてくれていた状態でした。そんな彼らに迷惑をかけてはダメだ、少しでもプロジェクトに貢献しよう! と思い、仕事を続けてきました。

そんな状態でしたが、1作ごとに“できること”と“やりたいこと”が少しずつ理解できるようになっていき、何とか自分のやりたいこと、考えていることを伝えられるようにもなっていきました。これは本当に周囲の人や、環境にも恵まれたのが大きかったと思います。

その後、『スーパーロボット大戦Z』シリーズのディレクターを任されることになりましたが、まだまだ学ばなければならないことが多い毎日です。

いシリーズとなった『Z』シリーズですが、名倉さんとしてどのようなテーマ、
想いをもって制作をされてきたのですか?

『Z』シリーズに共通する根本的なテーマは、「どんな困難でも人類は乗り越える。そしてどこへ進むのか?」ということです。これは第1作の『Z』からずっと考えていて、『第3次Z』では、このテーマに対して僕なりの答えを描いています。

テーマの中にある「困難」については、本当に人それぞれ、色々とあると思います。個人的な苦しみや悲しみはもちろん、戦争や争乱といったものも困難でしょう。その中で万人に起こり、巨大かつ予測もつかない困難として、「時空震動」を設定しました。圧倒的な恐怖が眼前に現れたとき、人々はそれを乗り越えてどこに進んでいくのか? 『天獄篇』の物語は、この『Z』シリーズのテーマに決着をつけるものでもあります。

どこまでも広がる無限を表す“天”と、自由を奪う枷と言うべき“獄”を組み合わせた“天獄篇”というタイトルが何を意味しているのか、プレイしていただければおわかりいただけると思います。

難の究極としての存在として「時空震動」があるとのことですが、
もう少し詳しく教えてください。

「時空震動」のアイデアは、みなさんご承知の通り『超時空世紀オーガス』に登場する時空震動弾からです。異なる世界を融合させる時空震動弾は、スパロボ的には禁じ手に近いアイテムですが、それを使うからにはめいっぱい活かそうとも考えました。『天元突破グレンラガン』『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』といった原作内で時間経過がある作品や、『装甲騎兵ボトムズ』のような別の銀河を舞台とする作品の登場と本作での活躍のさせ方は、その一例です。

そして、すべての発端は時空震動なのですが、そこから生じる具体的な“困難”の一つとして「カイメラ」や「インペリウム」といったオリジナルの敵を作り出しました。

シリーズのオリジナルの敵キャラクターたちは印象的なキャラクターが
とても多いですよね。個々について詳しく教えてください。

『Z』の世界は巨大な時空震動「ブレイク・ザ・ワールド」から、まだ半年しか経っていない状況で、戦国時代さながらの混沌とした状態です。そんな混沌とした状況の中から新しい秩序はどのように生まれてくるのだろう? と考えたとき、皆の価値観が完全に破壊されてしまった世界をリードしていく、ものすごいカリスマを持った独裁者を思いついたんです。

ただ、物語として単純にカリスマが居るだけでは面白みに欠けてしまう。そこで寺田プロデューサーに相談したところ、価値観が崩壊しているのだから既存の倫理や常識とは一線を画す、独特の価値観を持った存在…言わば、奇人として描いたほうがいいのでは? という提案をもらったんです。

そのアドバイスをベースにして、混沌の世界に降り立った人間たちが、己の心のおもむくままに独自に進んでいった先にあるものは? と考えて生まれてきたのが、個人的な欲求を満たすために手を組んだ少人数による世界支配を目指す組織「カイメラ」です。

そういった一癖も二癖もある連中ですから、正面切っての力押しではなく、他の組織に寄生して裏から手を回し、影から世界を支配していくような策をとらせました。

ただ、それでも時空震動という前代未聞の事件による恐怖は、簡単には乗り越えることはできないと考え、カイメラの幹部3名はそれぞれに不安を抱えさせました。ですので、その上に立つ者……つまり、ラスボスである「ジ・エーデル・ベルナル」は、そういったものを超越した存在……悪魔のような圧倒的な強さを持ったものと描きました。他人から見れば、欲望丸出しの変人ですが、それは裏を返せば、全ての束縛から自由になった者ということができるでしょう。

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